歯のコラム

Vol.02:口の粘膜がつくる抗菌物質

お口の中には様々な種類の無数の菌が生息していますが、食事の後に丁寧に歯磨きをするとか、入れ歯を清潔にしていると、通常は菌が増えて悪さをすることはありません。これは、お口の中には抗菌作用のある物質がつくられており、菌が急激に増えないように保たれているからです。とりわけ唾液は、菌の増殖を防ぐことに重要な役割を担っていますが、近年、唾液の量が減ってしまうドライマウスの患者さんが増えています。唾液の量が減ってしまうと、唾液による菌への抵抗力が弱くなってしまいますが、お口の粘膜でもいくつかの抗菌物質がつくられており、できるだけ菌が増えないように保たれています。この粘膜からつくられている抗菌物質の一つにディフェンシンがあります。北海 道医療大学 歯学部の我々の研究チームでは、ディフェンシンに注目して様々な研究を行ってきました。研究成果の中で治療への応用を期待したものに一つに、ディフェンシンを沢山つくる粘膜を人工的に作製したものがあります。これは、まだまだ動物実験の段階ですが、重篤な口内炎や火傷などによってお口の粘膜が欠損してしまい、菌の感染を伴う患者さんへの応用が期待されています。また、われわれの研究が既に商品化されたものもあります。これは、北海道産のタモギタケというキノコからとった物質に抗菌作用をもちながら、粘膜からのディフェンシンの量を増やしてくれるもののあることをみつけました。ドライマウスの患者さんにつかってもらう保湿剤の中にこれを配合し、現在市販されています。

 

 

 

 

執筆者

北海道医療大学 歯学部 生体機能•病態学系 臨床口腔病理学分野 安彦善裕

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