歯のコラム

Vol.03:細胞にも好き嫌いがある

ヒトの体は約60兆個の細胞からできていますが、それぞれの細胞は頭から足まで各部位を作るのに適した個性を持っています。口の中で言えば、歯肉を作る歯肉上皮細胞、歯を作る象牙芽細胞、セメント芽細胞、もしくは顎の骨を作る骨芽細胞細胞などです。逆に、話題のiPS細胞やES細胞は個性を持たない細胞と言えるでしょう。口腔インプラントでよく用いられる金属はチタンですが、チタンが 使われる理由として、鉄などよりさびにくいことがあげられます。それでは、さびないステンレスならいいのかと言うと、ここで問題となるのは骨を作る骨芽細胞との相性です。実は、骨芽細胞はチタンには非常に相性が良く、チタンに良くくっ付きますし、チタンの上で骨を良く作ってくれますが、ステンレスではそうはいきません。それでは、チタンはどの細胞とも相性がいいのかというと、そうではなくて、歯肉をつくる歯肉上皮細胞はあまりチタンを好みません。このように、それぞれの細胞には「好き嫌い」があって、私達がインプラントなどの『生体材料』と呼ばれる人工物を開発する時はそれぞれに関わる細胞の好き嫌いを調べて、それに合わせた生体材料を開発する必要があ るのです。現在、骨芽細胞が好きな生体材料は分かってきましたが、歯肉上皮細胞が好む生体材料を開発中です。

 

 

 

 

執筆者

九州歯科大学生命科学講座頭頚部構造解析学分野 後藤哲哉
tgoto@kyu-dent.ac.jp


該当学会発表 第1回学術会議 「生体材料上での細胞動態について」
後藤哲哉